2019年08月09日

2019年08月13日

夏の病気~プールに潜む感染症リスク編~【薬剤師コラム】

全国的に猛暑日が続いていますね。
朝起きるとすでに気温が高く、冷たい水を浴びたくてプールに遊びに出かける方も多いのではないでしょうか。
夏は、厳しい暑さから食欲不振になったり、生活習慣が乱れやすく、夜更かしが続いたりしてなにかと体調を崩しがちな季節でもあります。
冷たいプールは最高ですが、人が多い所はそれだけ病気に感染しやすいリスクも高いです。
プール以外にも、家族や友達と一緒にレジャーやBBQを満喫したいのに体調を崩してしまっては元も子もないですよね。
今回は、そんな夏になりやすい病気のうちでも、プールに遊びに行ったときになりやすい病気とその時に使用するとおススメのお薬を紹介していきます。
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プール熱(咽頭結膜熱)

夏の病気~プールに潜む感染症リスク編~
夏を代表する病気といえば、まずはプール熱です。
プール熱は「咽頭結膜熱(Pharyngoconjunctival fever:PCF)」とも呼ばれる病気で、1年を通じて罹る病気ではありますが、6月頃から患者数が増え始め、7〜8月でピークを迎えます。
学校のプール授業やレジャー施設のプールの水を介して流行することが多いため、「プール熱」と呼ばれています。
夏になると子どもを中心に患者数が増える感染症が、「手足口病」、「ヘルパンギーナ」、「プール熱」なので、プール熱は子供の三大夏風邪の1つとも呼ばれています。

プール熱の原因は?

プール熱は、「アデノウイルス」といわれるウイルスに感染することによって発症します。
感染経路は咳やくしゃみなどによる飛沫による感染、他人とのタオルの使いまわしや手指を介した接触による感染です。
プールでも塩素濃度が十分でない場合は、目の結膜からもアデノウイルスに感染することがあります。
プールは水が冷たくて気持ちがいいものですが、その分体温が奪われるので体力も消耗しやすく、免疫力が低下したところをウイルスにつけこまれてしまうのです。
そもそもアデノウイルスは感染する力が非常に強く、注意が必要です。

プール熱の症状は?

プール熱の主な症状は「高熱」、「咽頭炎による喉の痛み」、「目が赤くなる結膜炎」の3つです。
アデノウイルスに感染すると、2~14日の潜伏期間を経て、咽頭炎(のどの痛み)、結膜炎(目の充血)、39℃前後の発熱が数日~1週間続きます。頭痛をはじめ、食欲不振が3〜7日間続くこともあります。

プール熱に罹ってしまった時の対処法

プール熱の原因であるアデノウイルスに対する特効薬は現在ではまだ開発されていません。
のどの痛みにはうがいや鎮痛薬(トラネキサム酸錠500mgなどののどの痛み止め、アスピリンエトドラク200mgセレブレックス200mgなど)、目ヤニや結膜炎(目の充血)には抗生剤(クラビット点眼液、レボトップピーエフ15mgなど)やステロイドの目薬(フルメトロン点眼液、フロモン0.1%など)、眼のかゆみが強い時には抗ヒスタミンの飲み薬など症状に応じた対症療法を取るのが一般的とされています。

流行性結膜炎(はやり目)

夏の病気~プールに潜む感染症リスク編~
流行性結膜炎は「はやり目」ともよばれ、プール熱と同様にアデノウイルスに目が感染することで発症します。
アデノウイルスに感染すると、5日~2週間の潜伏期間の後、「さらさらした目やにが出る」、「涙が出る」、「まぶしい」などの症状があらわれます。
まぶたが腫れあがり、充血症状もみられます。
そして、流行性結膜炎を発症して1週間頃から角膜に点状の濁りがあらわれることがあります。
主な患者は1~5歳を中心とした小児に多いとされていますが、成人も含めて幅広い年齢で流行性結膜炎は発症します。

流行性結膜炎もアデノウイルスが原因

流行性結膜炎もプール熱と同様に、アデノウイルスが原因です。
そのため、感染の仕方もプール熱と同様で、タオルの使いまわし、汚れた手で目に触ることで感染します。
塩素濃度が十分でないプールの水が目の結膜に入ることでもウイルスが感染することがあります。

流行性結膜炎は治るまで登校、出社はできない?

流行性結膜炎自体は3週間ほどで自然に治りますが、学校保健安全法により原因であるアデノウイルスの感染力がなくなったと医師が判断するまでは学校へ出席できない疾患に指定されています。大人の場合も感染を広げないために出社は控える必要があります。
つまり、その期間中は夏休みでも他人との接触を避けなければなりません。
誰とも遊びに行けませんし、退屈な夏休みになってしまいます。

流行性結膜炎に罹ってしまった時の対処法

プール熱と同様に、アデノウイルスに効く薬はありませんので、ウイルスへの抵抗力を高めるために栄養補給と十分な休息とることが重要です。
それと併用して、他の細菌による感染を防ぐために抗菌目薬(クラビット点眼液、レボトップピーエフ15mgなど)や炎症を押さえるためのステロイドの目薬(フルメトロン点眼液、フロモン0.1%など)を使用します。

水虫

夏の病気~プールに潜む感染症リスク編~
夏のレジャーでは特に裸足で歩くことが多く、プールでも多くの時間を裸足で過ごしますよね。
そこで気になるのが「水虫」です。
子供には無縁のように感じられる水虫ですが、夏場のプールシーズンでは小さな子供ですら感染してしまうことがあるので要注意です。

水虫の原因は?

水虫は白癬(はくせん)菌といわれるカビと同じ仲間の菌に感染することで起こる疾患です。
白癬菌はケラチンと呼ばれる皮膚のたんぱく質を栄養源とし、温かく湿った環境を好むため、靴下や靴で覆われ高温多湿となりやすい足部の皮膚(角層)でよく増殖し、感染が起こります。
水虫の人の足からポロポロと剥がれ落ちた皮膚についた白癬菌が、足ふきマットやスリッパなどを共有することで他の人に感染します(水虫の人がいる家庭や、公衆浴場、スポーツジムやプールの足ふきマットには高確率で白癬菌が存在することが知られています)。

水虫にはどうやって感染する?

水虫は高温・多湿の環境を好んで繁殖するため、主に水場での感染が多いです。
プールや銭湯、レジャーランドなど多くの人が利用する施設の足拭きマットや、家族の中で水虫に感染している人がいる場合は、お風呂の足拭きマットなどからでも白癬菌はうつります。
とくに、不特定多数の人が利用する銭湯やプールの足拭きマットは、100%と言っていいほど白癬菌がついています。
しかし、そんな足ふきマットに触れて白癬菌が足の裏についてもすぐに水虫に感染するわけではありません。
その日のうちに足を洗って綺麗にし、乾燥した状態を保てば、通常は感染が成立する(うつる)ことはありません。
白癬菌が足についたまま、湿った靴下や通気性の乏しい靴を履き続けるなど、湿度が高く不衛生な状態で長時間過ごすことで、感染したり、または悪化したりします。

水虫を予防するポイントは?

水虫を防ぐためには、とにかく足を清潔に保つのが重要です。
とくに夏の高温・多湿の時期には以下のポイントに注意するようにしてください。
① 家に帰ったら足を洗う習慣をつける
② 足をよく乾燥させる
③ 通気性の良い靴を選び、何足かを交互に履く
④ 靴下を毎日取り替える
⑤ バスマットやスリッパを別々にする
⑥ まめに床掃除をする
⑦ 通勤用、職場用と靴を使い分ける
これらを守るだけで、かなりの確率で水虫を予防でき、足を清潔に保つことができます。

水虫に罹ってしまった時の対処法

水虫に罹ってしまった場合は、原因菌である白癬菌を殺す抗真菌薬といわれるお薬を使用します。
有効成分としてテルビナフィンやケトコナゾールなどが用いられており、直接患部に塗る外用薬(ケトコナゾールクリーム2%ニゾラールクリーム、ラミシールクリームなど)や飲みこむ内服薬(イトラコナゾール100mgテルビシップ250mgなど)として医療機関から処方されています。

家庭でできる「感染症予防対策」

夏の病気~プールに潜む感染症リスク編~
プール熱や結膜炎、水虫などの夏の感染症を予防するには、やはり毎日の心がけが1番肝心です。
外出先から帰ったときや食事をする前に手洗いする習慣をつけるだけでも、かなりの感染症予防につながります。
大人の方のなかにも手洗いの習慣がついていない人がたくさんいます。
子どもの泥汚れとは違い、目に見えない汚れが多いので、爪の間などしっかりと丁寧に洗うようにしましょう。
プールに入る際は、腰までしっかり消毒曹につかる、タオルやプールキャップを共有しない、塩素や感染症から目を守るためにゴーグルを着用するよう心がけましょう。
また、キャンプ場や川辺、ビーチなどでBBQをするときは念入りに手や食材を洗う、食材に十分に火を通すなど衛生管理にも努めるのがおススメです。

体の免疫力を高めるのもおススメの予防法!

   夏の病気~プールに潜む感染症リスク編~
体全体の免疫力を高めておくことのも予防の大事なポイントです。
十分に休みをとり、栄養バランスがとれた食事を摂ることでかなりの免疫力アップが期待できます。
特に粘膜のもととなるタンパク質や、免疫細胞を強化するビタミン、腸を綺麗にする乳酸菌や食物繊維などを意識して摂取したいです。
夏の強い日差しを浴びて、日焼けをして肌が乾燥すると免疫力の低下につながることもあるので覚えておきましょう。

まとめ

夏の病気~プールに潜む感染症リスク編~
楽しいはずのプールで病気をもらうなんて、ぜひとも避けたいところです。
1人1人が意識することで感染症予防につながりますし、感染に気付いたら早めの治療をすることで症状を軽度で抑えることができます。
感染症をなくして、みんなで楽しい夏休みを過ごしていきましょう!

原稿作成:薬剤師 白鳥勇磨

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