2018年10月12日

放っておくと命の危機?薬剤師がススメる高血圧治療におススメのお薬5選!【薬剤師コラム】

みなさんは職場の健康診断や人間ドッグで「高血圧」を指摘されたことはありませんか?
血圧の数値が高いといわれても実感もないし、自覚症状もないからと放置してはいませんか?
それってかなり危険なことなんです!!

高血圧は脳卒中や動脈硬化の原因となり、命を落としてしまう方が多くいます。
今回は、そんな実は危険だけど放置されがちな高血圧についての情報とその治療におススメのお薬を紹介していきます。
54

そもそも高血圧とは


放っておくと命の危機?薬剤師がススメる高血圧治療におススメのお薬5選!【薬剤師コラム】

高血圧とは、一般的には収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上、あるいは降圧薬服用中の方を指します。
収縮期血圧とは、心臓が収縮して血液を送り出した時の血圧で、血圧を測定したときの高い数値の方を指し、一般的には上(うえ)の血圧とも呼ばれています。
拡張期血圧とは、心臓が拡張して血液が心臓内に戻ってきているときの血圧です。
血圧を測定したときの低い数値を指し、一般的には下(した)の血圧とも呼ばれています。
収縮期血圧は太い血管の状態を反映しており、拡張期血圧は細い血管の状態を反映しています。
健康な血管であれば、収縮期も拡張期も血圧はほぼ一定に保たれていますが、加齢などにより太い血管で動脈硬化が進むと収縮期血圧が上昇し、拡張期血圧は低下します。
一方、動脈硬化がまだ進んでいない比較的年齢の若い方の場合、ストレスや喫煙、運動不足、肥満、過剰なアルコール摂取といった生活習慣の乱れから細い動脈(末梢血管)が緊張し、拡張期血圧が上昇します。
高血圧の方は年齢が高くなればなるほど多くなり、50歳代以上の男性と60歳代以上の女性では60%を超えています。
2010年国民健康・栄養調査によると、30歳以上の日本人男性の60%、女性の45%が高血圧と判定されました。
日本における高血圧者数は、約4,300万人(男性2,300万人、女性2,000万人)とも推定されています。
最近では、生活習慣病として高血圧が注目され、治療率(高血圧有病者のうち降圧薬服用者の割合)は、60歳代男女で50%以上、70歳代男女で60%以上となってます。
しかし、まだまだ高血圧があるにもかかわらず放置してしまい、治療を受けていない方が多くいます。

高血圧と他の病気との関係は?


放っておくと命の危機?薬剤師がススメる高血圧治療におススメのお薬5選!【薬剤師コラム】

高血圧は心血管病(脳卒中および心疾患)の最大のリスクファクターといわれています。
日本における高血圧に起因する死亡者数は年間約10万人と推定され、喫煙に次いで多いと報告されています。
心血管病死亡の約50%、脳卒中罹患の50%以上が、至適血圧(収縮期血圧120mmHg未満かつ拡張期血圧80mmHg未満)を超える血圧高値に起因するものと推定されています。
高血圧は心血管病のリスクになるだけでなく、腎臓にも負担をかけ、慢性腎臓病(CKD)および末期腎障害のリスクも上昇させます。
収縮期血圧10mmHg上昇あたり、将来の末期腎障害リスクが30%前後上昇することが明らかになっています。
また、高血圧、特に中年期の高血圧が、高年齢期の血管性認知症発症リスクを上昇させることがわかっています。
以上のように、高血圧は各種疾患を通して総死亡リスクを上昇させてしまいます。
全死亡者のうちの約20%が至適血圧を超える血圧によって発生するものと推定されており、年間約10万人が高血圧によって死亡しています。

日本人の高血圧の特徴


放っておくと命の危機?薬剤師がススメる高血圧治療におススメのお薬5選!【薬剤師コラム】

日本人は高血圧や脳卒中が多く、その理由として食塩の過剰摂取が挙げられます。
有名な話ですが、食塩の摂取量が多くなると血圧が高くなります。
平成23年(2011年)国民健康・栄養調査結果では、日本人1人1日あたりの食塩摂取量は平均10.4g(男性11.4g、女性9.4g)と報告されています。
過去の成績では、1950年代の東北地方の食塩摂取量は1日に25gも摂取していたと報告されています。
そのため、当時の東北地方では高血圧が極めて高頻度で起こっていました。
2012年に発表された世界保健機関(WHO)の食塩摂取量のガイドラインでは、一般成人の食塩摂取量を1日5g未満にすべきとしており、日本の現状はそれに遠く及びません。
食塩の摂取量が1日6gに低下すれば、30年の加齢による収縮期血圧の上昇が10~11mmHg抑制されると推定されるため、高血圧を指摘されている方は、薬による治療と並行して減塩が推奨されています。

高血圧の治療


放っておくと命の危機?薬剤師がススメる高血圧治療におススメのお薬5選!【薬剤師コラム】

高血圧治療の目的は、高血圧の持続によってもたらされる心血管病の発症・進展・再発を抑制し、死亡を減少させることです。
収縮期血圧10mmHg、拡張期血圧5mmHgの低下により心血管病リスクは脳卒中で約40%(33%~48%)、冠動脈疾患で約20%(17%~27%)それぞれ減少することが明らかにされています。
そのため、高血圧を医療機関や人間ドッグなどで指摘された方は、高血圧を治療することで将来起こるかもしれなかった命にかかわる病気の発症を予防することができ推奨されています。
高血圧の治療は、主に生活習慣の改善と薬による服薬治療です。
高血圧は生活習慣病の1つでもあり、生活習慣を改善することによりある程度の高血圧治療効果が期待できます。
しかし、多くの高血圧患者は生活習慣の改善だけでは目標とする降圧を得ることができません。
それでは、高血圧の治療におススメのお薬を紹介していきます。

カルシウム(Ca)拮抗薬



動脈の血管壁には、平滑筋細胞でできた層があって、この細胞が収縮することで血管は細くなり血圧が上がります。
この収縮は、細胞内にカルシウム(Ca)イオンが流れ込むことが引き金になって起こります。
Ca拮抗薬は、このカルシウムイオンの通り道であるカルシウムチャネルをふさぐことで、平滑筋細胞の収縮を抑え、血管を拡げ、血圧を下げることができます。
Ca拮抗薬は構造と作用によっていくつかの種類がありますが、高血圧によく用いられるのが、ジヒドロピリジン系のCa拮抗薬です。
Ca拮抗薬には、末梢血管を拡張させるだけでなく、心臓の血管も拡げる働きがあり、高血圧だけでなく狭心症の治療にも用いられます。
急速・強力な作用が特徴で、血管拡張作用が現在用いられている高血圧治療薬の中で最も強いといわれています。
高血圧治療の第1選択薬として多くの医療機関からも処方されており、高血圧治療初心者の方に多く服用されています。

・主なCa拮抗薬
アムロジピン(ノルバスク、アムリップ、アムロガー)
ニフェジピン(アダラート、ニカルジア)
シルニジピン(アテレック)

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)



アンジオテンシンⅡは、体内で生成される血圧を上昇させる物質です。
アンジオテンシンⅡは、血管を収縮させたり、腎臓でのナトリウムや水分の排出を抑えて血液量を増やす作用があり、血圧を上げる働きをしています。
アンジオテンシンⅡはその受容体に結合することで、はじめて血圧を上げる作用を示します。
つまり、受容体への結合を阻害すれば血圧上昇を抑制することができます。
このARBは、アンジオテンシンⅡが受容体に結合するのを妨げて、血管を拡張させ、血圧を下げる作用を示します。
腎障害や糖尿病性腎症にも有用であると報告がされているため、心・腎・脳の臓器合併症や糖尿病などがある高血圧症に特に推奨されています。
用量にかかわらず副作用も少ないのも特徴の1つです。

・主なARB
オルメサルタン(オルメテック)
バルサルタン(ディオバン)
テルミサルタン(ミカルディス、クレサール)
イルベサルタン(イルベタン、カルベア)
ロサルタン(ザート)

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)



このACE阻害薬は、ARBのように受容体にアンジオテンシンⅡが結合するのを阻害するのではなく、アンジオテンシンⅡそのものの生成を抑制することで血圧の上昇を抑制します。
アンジオテンシンⅡは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の作用を受けてアンジオテンシンⅠから作られますが、ACE阻害薬を服用すれば、アンジオテンシンⅡは作られません。
それがACE阻害薬の働きです。
アンジオテンシンⅡが作られなければ、その結果、血管は拡がり、血圧が下がります。
心筋梗塞後の心血管合併症を減少させ生命予後を改善することが示されており、心不全や腎障害(特に糖尿病性腎症)の治療にも有用であることが確認されています。
血圧低下作用はおおよそARBと同等です。

・主なACE阻害薬
カプトプリル(カプトプリル25mg、カプトプリル50mg)

利尿薬



血液中に余分な水分が増えると、血管を流れる血液の全体量が増えてしまうことから、血圧が上がってしまいます。
血圧を下げる方法の1つに、尿の出を良くして血液中から余分な水分を減らす方法があります。
それをすることができるのが利尿剤です。
利尿剤は腎臓に働きかけ、尿量を増やします。
身体から余分な水分を排出することもできるので、むくみ解消効果もあります。

・主な利尿薬
フロセミド(ラシックス)
トラセミド(ルプラック、トール、ダイトール)

β遮断薬



血圧は、心臓の過剰な働きによっても上昇します。
心臓はノルアドレナリンがβ受容体に結合することで活発に活動します。
β遮断薬は、β受容体に結合してノルアドレナリンの結合を妨げることによって心臓の心拍数を減らし収縮力を弱めます。
その結果、血圧を下げることができます。
心臓の過剰なドキドキを抑えることができるので、緊張によるあがり症や不安症にも使用されています。

・主なβ遮断薬
プロプラノロール(インデラル、シプラール)
アテノロール(テノーミン)

高血圧治療薬の主な副作用


放っておくと命の危機?薬剤師がススメる高血圧治療におススメのお薬5選!【薬剤師コラム】

いかがでしたか?
高血圧治療薬のことを少しでもわかっていただけたでしょうか?
今回紹介したお薬は、高血圧治療薬として現在でも多くの方に使用されている安全性の高く、効果の強力なお薬です。
しかし、どのようなお薬にも患者さんによって副作用が出ることがあります。

・主な高血圧治療薬とその副作用
Ca拮抗薬→浮腫(むくみ)
ARB→高カリウム血症(四肢の痺れ、不整脈、頻脈、筋力低下、吐き気)
ACE阻害薬→痰の絡まない咳
利尿薬→腎障害、糖尿病の悪化、高尿酸血症
β遮断薬→徐脈、気管支喘息の悪化、糖尿病・脂質異常症の悪化

お薬を服用して、これらの症状があれば速やかに医師・薬剤師に相談するようにしてください。

原稿作成:薬剤師 白鳥勇磨
参考サイト:
http://www.jpnsh.jp/medical_ind.html
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

上に戻る